自治体が運営する霊園とは
日本では、お墓をどこにでも建てて良いわけではありません。
誰もが死後、お世話になる墓地や霊園には、寺院墓地、民営霊園、そして公営霊園の3種類があります。
今回は、この3種類の中でも、比較的リーズナブルで安定感や安心感がある公営霊園についてご説明しましょう。
公営霊園の歴史
公営霊園は、明治時代、東京と大阪に作られた神葬祭墓地が始まりと言われています。
日本で最初に市民を埋葬する公営霊園となったのは、大正15年に設立された東京都港区にある都立青山霊園です。それ以降、地方でも自治体が主体となる公営墓地は増加していきます。
民営霊園の起こりは昭和30年あたりですので、公営霊園は古い歴史がある霊園と言えるでしょう。
公営霊園の概要
公営霊園は、自治体が主体となり、管理・運営している公共施設であることが一番の特徴です。規模はまちまちですが、民間経営のように経営破綻や倒産などの心配は少なく、経営状態が安定している上、価格も抑えられています。
ただ、営業活動を行う必要もないため、石材店などは各自で探さなければならなかったり、お線香や供花、水桶等の供養品もお墓参りのたびに自分で用意する必要があったりなど、ソフト面では融通が利かないように感じる場合もあるかもしれません。
また、募集区画数に限りがあり、募集期間もまちまちであるなど、必ずしも自由に申し込めるわけではないので、注意が必要です。公報、もしくは自治体のホームページなどをこまめにチェックして、公募期間を逃さないようにしましょう。
公営霊園の永代使用権について
民営霊園と比較すれば割安感がありますが、先ほども触れた都立青山墓地など、都心にある人気の霊園の場合、永代使用料は平米274万円と決してリーズナブルであるとは言えません。
住宅価格が地価に大きく左右されるように、墓地の利用料も同じと考えた方が良いでしょう。
管理費は、自治体から年に一度、請求があります。こちらも一等地にあれば高額となり、地方に行けばそれだけ安価となる仕組みです。
また、公共施設であるため、民間霊園に比べて、霊園内にあるトイレなどの設備が古かったり、管理が行き届いていなかったりする場合も少なくありません。
公営霊園を申し込むための条件
公営霊園の永代使用権を得るためには、以下のような複数の条件があることが多いです。
- 申し込む本人が、その自治体に住民登録しており、一定期間居住していること。
- すでに、ご遺骨が存在すること。
- 一度も埋葬していない遺骨であること(改葬や分骨は不可)
- 親族で承継が可能であること
- 自治体管轄内に別のお墓を持っていないこと
そのほか、自治体によって、1世帯に1区画のみなど、さらに項目が増える場合もあります。
区画は希望の場所ではなく、自治体から指定されることが多いです。お互いの希望が合ったからといって、当選者同士で勝手に区画を交換するなども認められていませんので、注意しましょう。
公営霊園のメリット・デメリット
公益霊園を選ぶメリットとしては、将来的に安定しているというところでしょう。お住まいの自治体が管轄しているので、自宅からほど近い場合が多く、お墓参りがしやすい面も支持されています。宗教や宗旨は問わず、信教の自由が保証されていることもメリットです。
デメリットとしては、自治体の管轄区域内に居住していなければならないことや、場所によってはなかなか区画の空きがないことなどが挙げられます。空きが出たとしても、都心の場合は特に倍率が高くなり、なかなか納骨できないこともあるかもしれません。中には、10年続けて抽選に参加しているという方もいらっしゃいます。
また、募集時期が決まっている場合には、ご遺骨をすぐに納骨することが出来ないといった点もあります。
地方では継承者のいない無縁墓が増えており、再整備をするにも資金がなく、頭を痛めている自治体も少なくないようです。
まとめ
都心部では、公営霊園を希望される方と空きの「需給バランス」が取れず、慢性的に区画数が不足しています。反面、都心を外れた公益霊園では、比較的空きがあるところもありますが、その年によって、公募される区画数が違うケースもあり、納骨したいときに出来るわけではないというのは、人によっては大きなデメリットかもしれません。
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