お墓参りと墓マイラー(掃苔)
墓マイラーとは、「有名人のお墓参りを趣味として、全国を行脚する人たち」のことです。文芸研究家のカジポン氏が名づけ親と言われていますが、歴史上の人物や有名人の墓参りをすることは近年に始まったことではなく、昔から聖地巡礼や掃苔(そうたい)というブームもありました。
墓マイラーの歴史や特徴、気を付けたい点などについてご紹介します。
墓マイラーの歴史、掃苔とは?
歴史上の人物や有名人のお墓を巡る墓マイラーが増えていて、個人や友人と一緒に訪れる人をはじめ、お墓参りツアーをネットで募集するケースまであります。また、専任のガイド付きで文豪や芸術家などの墓を訪れる街めぐりや、シニア向けサークルなども人気を集めています。
墓マイラーという言葉は今の時代に生まれたものですが、昔から著名人の墓を巡ったり、好きな作家や芸能人の墓前をファンが訪れたりするのはよく見られる現象でした。
歴史を遡れば、キリストやイスラムの神アッラーなどのメッカを訪れる聖地巡礼も墓マイラーの原型と言えます。日本でも文人たちの間でお墓を巡る、掃苔(そうたい)がブームになったことがあります。
掃苔とは「墓石に生えた苔をきれいに取り去って清めること」を意味します。これが転じてお墓参りを意味するようになりました。今の時代に有名人の墓を巡ることを墓マイラーと呼ぶように、当時の知識人たちは掃苔と呼んで楽しんでいたのかもしれません。
明治・大正期の小説家である藤波和子氏は『東京掃苔禄』という書籍を出版していて、それほど文人たちの間でブームだったことが伺いしれます。
現代でも歴史上の人物の墓を案内するパンフレットや観光ガイドがあるほか、著名人の墓が複数ある霊園では霊園マップや霊園内に看板を掲げて、案内しているケースもあります。
お墓参りは尊敬の念の表れ
墓参りが趣味なんて気色悪いと感じる方もいるかもしれません。人によっては、お墓は怖い場所、幽霊が出るかもとか縁起が悪いと近づきたがらない方もいます。
一方、墓マイラーが有名人のお墓を巡るのは単なる観光目的や興味本位、暇つぶしではなく、歴史や文化を感じたいとか、好きな作家や歴史上の人物と心を通わせたいなどの想いがあります。中には作家を志して憧れている作家の墓前に手を合わせ、目標を達成する決意を固める方、戦国武将の墓を訪れて勇気をもらう方、赤穂浪士の墓を訪れて弔いをするなど、それぞれの想いを携えて訪れる方も多いのです。
墓マイラーの守るべきマナー
お墓は本来そのご家族や子孫、知り合いがお参りする場所であり、中には悲しみが癒えない方も訪れます。いくら著名人の墓があるからと大声で話したり、笑い声を立てたりするのは避けたいものです。集団で訪れるのも慎み、できれば、個人や数人の小グループで行動するようにしましょう。
お線香やお花はたむけられるケースもありますが、生の飲食物などはお供えしないか、拝んだ後に持ち帰るのがマナーです。中には訪れるファンのためにメッセージを入れる箱を備えているケースや、墓参りの注意点が記載された掲示板があることもありますので、そのルールに従うようにしましょう。
お墓の魅力と重要性
歴史上の人物など本当にいたのか疑問に思ってしまう方も、実際にお墓を目の前にすると伝説の人物ではなかったと、改めて歴史に思いを馳せることができます。
生前に一度も会ったことがない著名人であっても、お墓で手を合わせることで心が通じ合うようだとか、その人が持っていたポリシーやパワーを与えてもらえるようだと感じる方も少なくありません。
日本では肉体は死んでも魂は生きているといった思想があり、お墓は亡くなった人物と心を通わせることができる重要な場所でもあるのです。
まとめ
墓マイラーは冷やかしや暇つぶしで有名人のお墓を巡っているわけではなく、憧れの人物と心を通わせたい、歴史上の人物の生きざまを確かめたい、パワーをもらいたいなどと明確な目的を持っている方が少なくありません。
神聖な場所ですので、礼儀やマナーをわきまえることは大切ですが、お墓を重んじる行動はお墓参りの機会が失われてきた忙しい現代人からすれば、見習いたいものがあります。
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