構造と成り立ちからお墓を考える
お墓に対して多くの人は、「お墓とはこういうもの」として見ているため、そもそもどのような構造になっているのかや、何が加わることでお墓として成立するのかということに、興味や関心を持ったことがない人が大半ではないでしょうか。
そんなお墓とはどのように成り立っているのか、詳しく紐解いていきます。
お墓の基本的構造はどうなっているのか
お墓と言うと「墓石」が真っ先に思い浮かびますが、この墓石とカロート、それに墓地区画を囲む外柵(巻き石)の3つが基礎的な構造となります。
この3つでお墓の形を構築するわけですが、その前に地面を固めなければなりません。区画の根切り(地面を掘る工事)と地固め(基礎固め)を行った後、カロート用の穴を掘ります。お骨を土に還すための場所ですので、土のままにしておくのが特徴です。その他の部分は区画全体に枠をはめて配筋をしてから、コンクリートを流し込んで固めます。
カロート部分の大きさはお墓の区画の広さによって異なり、0.45㎡〜0.80㎡では3〜4体、1.00㎡〜1.8㎡では5〜6体納めることができます。とはいえ、お骨は順番に土に還っていきますので、よほどのことがない限り納骨できないということはないでしょう。
こうして地固めを行ったら、区画部分を示す外柵を作るのが、基本的なお墓の構造です。
供養を手助けするお墓の付属部
ベースとなるお墓の構造が出来上がり、墓石を立てたとしてもそれで出来上がりではありません。お墓というのは亡くなった方をお弔いするためのものですので、供養につながる付属部が必要です。
墓石を中心に、線香やお花を立てるための香炉と花立、そしてお水をお供えするための水鉢を墓石の前に置きます。さらに、墓石の後ろには、釈迦如来のお骨が納められた五重塔をかたどった、五輪塔の形をした卒塔婆を立てるための塔婆立が必要です。ただし、宗派によって卒塔婆を立てないこともありますので、卒塔婆立が必要でないお墓もあります。
後は同じく供養のために燈籠を置くのが一般的で、いずれも亡くなった方やご先祖様の供養のためにお墓に付属させるものです。
装飾としての役割を持つ付属部
元々は供養のためのものである燈籠には形がさまざまあり、昨今はどちらかと言うと装飾の用途で付属されます。特に区画が広いお墓だと、見栄えを良くするためには非常に効果的です。
純粋に装飾としての役割を担う付属部で不可欠なのが、区画内に敷き詰める玉砂利です。見た目を美しくするのはもちろんですが、玉砂利を敷くことによって雑草が生えてくるのを防ぐ効果がありますので、その分、お墓の見た目を良くするのにも一役買ってくれます。
お墓参りの前に手を清める意味で使われていたつくばいは、いわゆる手水鉢(ちょうずばち)のことですが、現代社会では水道が整備されていますので、実用的ではないことから装飾となりました。
ほかには物置台もありますが、こちらも使うことがないため、実質は装飾部となっています。
お参りする人のための付属部
お参りする人のための付属部には、亡くなった方の名前と没年月を刻んだ石板の墓誌や名刺受などがあります。名刺受は文字通りお参りしてくださった方の名刺をお預かりする場所ですが、昨今はほとんど使われません。そのため、装飾付属部に分類されることもしばしばです。
同じ意味合いから、物置台も元はお参りする人が荷物を置くための石ですが、そうした用途があると知らない人が増えたことから、こちらも装飾に近い付属部扱いとなっています。
まとめ
お墓と一口に言っても、大きなものから小さなものまでいろいろありますので、構造自体にかなりの違いがあります。
カロートのような構造と、供養に必要な付属部以外は、お墓の見栄えを良くするという意味合いで用いられているものがかなり多いことがおわかりいただけたかと思います。お墓を建てられる際には参考にしてみてください。
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