お彼岸はご先祖様のお墓参りに行く風習であり、日本で長く続けられてきました。春と秋の年に2回あり、春分と秋分を中日とした前後3日間となるため、その年によって日にちは少し前後します。
ここではお彼岸について詳しくご紹介していきます。
お彼岸の意味について
お彼岸は元々仏教から来ている言葉で、煩悩を脱した悟りの境地を開くことを意味します。
また、人が亡くなると仏教的には三途の川を渡ると言いますが、生きている人間が暮らしている現在の世界を「此岸」、亡くなって渡っていく向こう側の仏様の世界を「彼岸」と呼びます。つまり、お彼岸は亡くなった方が暮らすあの世の世界も意味します。煩悩とは心身を悩ませ、乱したり煩わせたりすることで、人々の日常で日々起こることと言えます。こうした煩悩から解き放たれ、人を恨んだり、悩んだり、怒ったりといった感情を持たない穏やかな境地を「悟りを開く」と呼んでいます。
生きているうちに精神鍛錬や修業を通じて悟りの境地を開く方もいますが、一般的にはなかなか難しいものです。ですが、人は亡くなると全て煩悩から解き放たれ、悟りの境地に達した極楽浄土、つまり彼岸に行けると仏教では考えられています。
お彼岸の起りは
仏教はインドを発祥にタイや中国などでも普及していますが、お彼岸にお墓参りをする風習は日本にしかありません。彼岸の意味は仏教に由来することから仏教行事と思われがちですが、日本に根付いているお彼岸のお墓参りや初彼岸にお見舞いに行くといった習わしは、日本独自のものです。
その起こりは寺院で行われる彼岸会にあるのではと考えられています。彼岸会とは浄土宗の思想に基づき、平安時代の中頃に始まったとされる行事です。
浄土教では極楽浄土ははるか西の彼方にあるとされ、太陽が真東から昇って真西に沈む春分の日と秋分の日は、生きている人が住む世界である此岸と亡くなった方が住む仏様の世界である彼岸が最も接近する日と考えられています。
こうした考えのもと、春分の日と秋分の日にご先祖様の供養の法要を行うことで、亡くなった方の弔いに加えて、自らも亡くなった際に地獄に落ちず、極楽浄土へと導かれるという発想が生まれてきました。そこで、お彼岸にはご先祖様の供養と家族の繁栄や自分たちの穏やかな生活を願ってお墓参りをする風習が根付いていったと見られています。
お彼岸の時期について
お彼岸は春分の日と秋分の日を、中日を挟んで前後3日間の計7日間となります。
春分の日と秋分の日は毎年同じではなく、太陽が真東から昇り、真西に沈んでいく日として国立天文台が発行する官報での公表をもって、翌年の日程が定められます。
春は3月の23日前後、秋は9月の23日前後になることが多いですが、毎年変わるので注意が必要です。
お彼岸とお墓参り
春分の日と秋分の日は太陽の動きから見て、この世である此岸とあの世である極楽浄土がほぼ一直線となり、この世と極楽浄土が最も近くなる日です。この日にご先祖様の供養を行えば、ご先祖様だけでなくお墓参りをする方も煩悩のない極楽浄土へ到達できるのではないかとしてお墓参りの風習が始まりました。
現代でも春分の日と秋分の日は祝日なので、里帰りをしてお墓参りに行く方も少なくありません。また、地域やご家庭の風習によってはお彼岸の入りにお墓参りに行くところ、お彼岸の入りと明ける前の日に行くといったところもあります。
現代の方は忙しいので、彼岸中のどこかでお墓参りに行けばいいと気楽に考えたり、日程が合わずにその前後にお参りされたりする方も増えてきました。それでも年に2回のお彼岸を頭に入れ、お墓参りに行こうと思う気持ちや行動はとても大切なことです。
ご先祖様と心を通わせ、手を合わせる時間は精神的にも落ち着き、日々の心のストレスやイライラが洗われるようです。古くから脈々と続いてきたこの習慣を子どもから孫へと受け伝えていけるといいのではないでしょうか。
まとめ
お彼岸は春分の日と秋分の日を挟んだ前後7日間を指し、この日は仏教的かつ太陽の動きに照らし、この世と極楽浄土が最も近づく日と考えられてきました。このことからお墓参りを行い、先祖と心を通わせ、自身も極楽浄土へ行けるよう手を合わせてきたという習慣が普及したものです。
今の時代はなかなか忙しくて行けない方もいると思いますが、お中日ではなくても、お彼岸の期間やその前後にお墓参りに行き、心を洗う時間を作りたいものです。
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