お墓参りに行く際にはお線香やお花のほか、お墓に供える食べ物や飲み物、亡くなった方が好きだったものなどを持っていく方も少なくありません。
どのような物とどのような形でお供えするべきなのか、その風習やルールなどがあるのかご紹介していきます。
飲食をお供えする台について
お墓によってはお供え物を乗せる台座などが、線香立てや花立てとは別に設けられていることもあります。わざわざ設けられていれば、お供え物をするのも当たり前の習慣になっているかもしれません。
一方、特にお供え物専用の台がない場合でも、墓石の線香立ての間などが台のようになっているために、そこに何か置かないと寂しいと感じた際や、ちょうどいい場所として置く方も少なくありません。
台の有無は関係なく、お供えしたい物があれば、供えながら線香をあげ、手を合わせるというのが風習であり、特別な決まりはありません。
お墓のお供え物について
ご自宅に備えたお仏壇には毎日炊いたご飯を朝一番に備えたり、お味噌汁や故人が好きだったおかずを備えたりする方もいます。また、季節の果物をはじめ、お菓子にお酒やタバコなど故人が好きだった物を供える方もいます。
ご自宅の場合はお供え物の管理もしやすく、腐ったりする前に交換ができます。ですが、お墓の場合、そう毎日お墓参りに行く方はいません。また外の墓地なら雨で濡れたり、風に飛ばされたり、カラスや虫などに荒らされる危険性もあるでしょう。
そのため、どのような物を備えるべきかや、そのまま置いてきてしまっていいものか悩まれる方もいるかもしれません。
食べ物のお供え(飲食)について
仏教では五供(ごく・ごくう)を備える風習があります。
線香、お水、燈明、花、飲食(おんじき)が基本であり、葬儀の際の祭壇に始まり、お仏壇やお墓に果物や砂糖菓子などの食べ物を備える習慣は、仏教の教えを元に普及してきたものです。
先祖への感謝や亡くなった家族への供養のために、故人が好きだった食べ物を備えるといった風習も自然に生まれてきました。この点、お盆にお仏壇にお供えするお膳は精進料理という決まりがあり、肉や魚、卵などの動物性の食材やかつおだしなどの調味料は使えません。
ですが、お墓参りの際にお供えする物には特に制限なく、故人が好きだったおつまみやスナック菓子、コーヒー飲料やビールなどを持っていく方も少なくありません。
お墓参りは仏教のルールに厳密に則るだけでなく、何より、その方と亡くなられた方をつなぐ時間です。生きているうちにもっと親孝行をしたかった、おいしいものを食べさせてあげたかったなど後悔の念があったり、うれしかったことを報告したいなど、さまざまな想いがあることでしょう。
その気持ちの表れとして、亡くなられた方に食べてほしい物などをお供えすることで気持ちも晴れやかになるのではないでしょうか。
お墓参りにより、気持ちが穏やかになる行動をすることこそ大切なことです。
お供え物は、片付ける?
古くからお墓参りを続けてきたご家庭や古いお寺などでは、お供え物は先祖に供えた物としてそのまま置いていくケースが多かったものです。もっとも、お墓の場所も近く、気軽にお墓参りに立ち寄れるので、古くなった物を処分するのも容易でした。
また、お墓によっても風習やルールが異なり、お寺の管理者が巡回してお掃除をしてくれるケースもあります。近年の考え方では、お供え物は手を合わせて十分に拝んだ後、持ち帰るのが基本です。
少し前に北海道で街中に熊が出没して、お墓参りのお供えは持ち帰るように自治体から指示が出された例もありますが、鳥獣被害の危険があるので、お墓の状態を保つためにも持ち帰るのが基本です。
まとめ
お供えは亡くなった方への気持ちを伝える1つの風習です。
果物やお菓子をはじめ、故人が好きだった物をお供えして、ご自身の気持ちを伝えられれば、ベストです。
お墓のお供え物は鳥獣被害のリスクがあり、お墓が荒らされてしまう可能性があるので、持ち帰るようにしましょう。
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